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必要な機能は何か?から組織構築を考える

9月11日になると思い出す映像があります。(日本時間だと9月12日ですが) 

当時はデルで働いていて、多摩川沿いの家に住んでいました。テレビをつけたまま寝てしまったわたしは、いつものように早めにベッドに入り、夜中に目を覚ましました。そこで目にしたのが、テレビから流れるビルから煙が出ている映像です。明らかに映画やドラマの映像ではない。でも映っている内容は現実とは思えない。そんな不思議な違和感でした。人の価値観を変えるには充分すぎる大きな出来ごとでした。

さて、今日は組織のはなしをしたいと思います。

会社には本部があり、部があり、課があり、個人の役割と役職があります。(そういえば外資系の会社に課という概念はあるのでしょうかね? )

会社は人員計画をたて、それをベースに採用活動を進めていきます。これは外資系に限らず、日本の会社でも同じでしょう。営業 xx人、技術営業 xx人、マーケティング xx 人、インサイドセールス xx人、アライアンス xx人、導入コンサル xx人、カスタマーサポート xx人、カスタマーサクセス xx人、人事・採用 xx人、ファイナンス xx人、国内に開発機能を持つならエンジニア xx人といった具合です。

外資系の日本法人においては、グローバルの組織構造とRole and Responsibilityを参考にしながら、人員計画を立てて採用していくわけですが、ここに落とし穴があります。(落とし穴というのは、その存在に気づかずに引っかかってしまう罠ですが、ここでいう落とし穴は、誰もが気づいてはいるけど、なんともし難いポイントと言えるかもしれません。)

外資系日本法人が、本社や他のリージョンの組織構造とRole and Responsibilityを参考にしながら組織構築を進めるときに注意したいポイントとは何か? それは現時点の本社の組織構造とR&Rで考えないことです。ある程度成熟したマーケットで、規模も大きくなってきた本社の組織では何が起こっているか? 営業人員が増え、売上高が増える。営業以外の社員が増え、社員全体が増える過程で各機能の専門性と効率を高めるために部門が新設され、それにともないマネージャーも増える。マネージャーが増えることで、組織に階層が増える。これが組織が成長するということでしょう。

では、ある程度まで成長している本社の組織構造と、本社のR&Rで日本法人の組織を考えるとどうなるか? 
まずヘッドカウントの割り当てが、細分化された部門単位で行われます。とはいえ売上も少ないのに、大人数を採用することは出来ないので、細分化された役割の人を少数だけ採用することになります。組織全体の部分部分の役割が採用された結果、カバーされない業務が多くなり、プロセス全体が穴だらけになってしまいます。(その採用活動が本社主導で行われる場合には、さらに新しい課題が出てきます。これはまた別の機会で) 

これは外資系日本法人においては、多くの人がわかっているけど、、、というコトのひとつです。

なぜ、わかっているけど、、、なのか? これもみんなわかっています。先に書いたように、ヘッドカウントの割り当てとそれを承認をする本社側が細分化しているからです。

立ち上げ間もない日本の状況で考えれば、まずは製品と技術がわかる人が一人欲しい。貴重なその人には「プリセールスもインプリも、カスタマーサポートも、パートナーさんからの技術に関する問い合わせもやって欲しい」わけです。

そういった役割を採用したいと思ったとき、多くの外資系日本法人では、どこでヘッドカウントをつけるの? プリセールス?インプリコンサルタント? テクニカルサポート? プロダクトマネジメント? という検討と本社各ラインの承認が必要となります。 本社の理解が得られないケースは、 「自分の部門のコストセンターを使うなら、それ以外の仕事はしないでくれ」「その(細分化された)ロールの採用はまだ早い」「自分のところのヘッドカウントは限られているので日本には割り当てられない。他のヘッドカウントを使ってくれ」となるのです。

幸いにして、我が社はそうではないと、早めに言っておきます。そもそも本社が各リージョンを尊重するつもりがないと、絶対にJVなどは作りません。JV設立というのは、強烈な権限委譲意思の現れです。現に、本社もAPACリージョンのメンバーも非常に柔軟でサポーティブです。

さて、先ほどお伝えしたような事態を避けるために、私たち日本法人はどう考えればいいか? それはタイトルにある、「必要な機能は何か?から組織構築を考える 」ということです。

ここでの「機能」という意味は、営業支援とか、顧客サポートとか、アライアンスといった、ざっくりとした部門名でもなく、本社のような、エンタープライズ担当&A製品担当営業支援や、xxパートナー担当アライアンス、中堅企業担当テクニカルサポート、オフィスファシリティ担当といった、いまの日本法人にとっては細分化されすぎたものでもありません。

「機能」の例として、以下のような機能が欲しいと考えたとしましょう。営業活動のなかで営業が対応しきれない技術的な質問への対応と、そのナレッジベース構築をする機能かがあると良い。デモは営業自身がやれるソリューションなのでそれは不要。でも導入経験があると望ましいソリューションなので、最初は導入コンサルとの兼任が良いかも。お客様が20社になるくらいまではカスタマーサポートもやってもらいたい。といった具合だ。

請求書などアカウンティングの仕事も少しはあるが、プランニングもある。リーガル対応もあるし、オフィス管理もやってもらいたい。この人には、就労規則とか採用活動の推進も任せたい。いわゆるひとりコーポレート。

ひとことでテクニカルサポートと言っても、日本においてはパートナーさんがその役割を担う。だから日本でサポート機能を拡充するためには、パートナー技術支援が必要。日本でもセルフラーニングのコンテンツさえあればサポートは問題ないのであれば、本社サポート林資料の翻訳コストだけで、人員のアサインは不要。いやベンダー自身による直接サポートが必要なので、採用が必要だ。いや、別の選択肢だ。

マネジメントにおいても同様です。必要なのは単なる社長とかマネージャーという肩書きでも権限でもなく、機能です。与えられた責任を果たすための機能であり、新たなゴールを設定する機能。将来まで続く組織を作る機能であり、そのための環境を作る機能です。

こういった議論と、それに基づく投資決定のことを、「必要な機能は何か?から組織構築を考える 」と表現してみました。

お気づきの通り、自分の枠を超えて仕事をしたい人にとっては、立ち上げ期の会社は最高の環境です。

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