緊急事態宣言が解除され、少しずつ会食の機会が増えてきました。
誰かが言っていました。移動を禁じるということは、犯罪者に対する罰であると。幽閉、監禁、軟禁などいろんな言葉もあります。必ずしも犯罪者に対するものだけではありませんが、相手にダメージを与えることは間違いありません。
日本においてはそこまで厳格ではないものの、外出を自粛し、人と会うことを避け、いわゆる「移動を禁じられる日々」が続きました。人々に大きな影響を与えたことでしょう。
わたし自身、何度も話はしていても、直接会ったことがない社員は何名もいます。新入社員を飲み会で歓迎してあげることも難しい日々でした。
もちろんマイナス効果だけではなく、プラスの効果もあったと思います。良い意味でも元の生活には戻れないと思います。
仕事はどうなるか? オフィスのあり方はどうなるか? そんなことを考えます。
わたしが大事にしたいと思っていることは、全体最適というか、個と全体のバランスです。
ひとつだけ例をあげます。 こんなことがありました。
コロナ禍になってすぐ、全体が在宅勤務になりました。ある人が言ってました「在宅勤務最高です。仕事がめちゃくちゃはかどります。誰にも邪魔されなくて、自分の仕事に集中できるんです。もうオフィスには戻りたくありません」と。
わたしも少し共感するところもあります。ただここで気をつけたいのは、仕事はひとりでするものではないということです。その「誰にも邪魔されなくて最高」という人に聞きたいことがある社員がいて、その人に相談したい人がいます。そういう人たちにとっては、仕事がしにくくなった可能性が高いと思っています。いままですぐ近くにいて、気軽に相談できたことが相談できなくなったとしたら? そしてそういう人が複数いたとしたら? ひとりが快適になった裏で、何名かの人が不便になってしまっているかもしれません。
これがわたしの言いたかった、個と全体のバランスです。もちろん、だから元の生活に戻ろうとか、みんなで出社しましょうよという短絡的な話でもありません。全体最適ばかりを意識していたら、玉虫色の結論になるでしょう。個の尊重ばかりを意識していてはビジネスゴールを達成できないかもしれません。
そういうトレードオフがある課題に方向性を出すのが経営者の仕事なんでしょう。難しいですね。