パワーの基本原理 Newsweek 7月12日号より
定期購読している雑誌のひとつが、Newsweekです。定期購読とは言っても、届く冊子は、通常袋に入ったまま、その辺に積んであります。そして新幹線に乗る時や飛行機に乗るときにまとめて読むというのがパターンになっています。
積んであるなかから、今日偶然手に取ったのは、Newsweek 7月12日号 です。特集は「権力」の授業です。こういう特集があるということは、やはり人は権力を身につけたいものなのでしょうか。
わたしは、権力というのは、じゃんけんであり、食物連鎖のようなものであると感じます。絶対的な権力というものはないと思うのです。
わたしの仕事を例にしますと、わたしは社員の皆さんの直接的、間接的なサポーティングマネージャーです。この時点で、人事権を持っているわたしは、いわゆる「パワー」を持っています。
当社の場合、代表取締役(いまはわたしです)を選任するのは、日本法人の取締役会です。わたしが来期も仕事をさせてもらえるかどうかは、直属の上司も含んだ、その取締役会が決めるのです。取締役会はわたしに対しての強いパワーを持っています。
そして、その取締役のメンバーは、各部門のグローバル責任者の数名です。わたしがサポートする社員の皆さんは、全員が日本法人の取締役たちへの直接のアクセスが可能です。わたしが特定の部門(典型的には自分の上司の部門になりがちですね)がハッピーになるような動きだけをしていれば、他の部門の社員はそれを取締役に指摘するでしょう。取締役を経由して(もちろん直接でも)、いつでもわたしに「NG」を出すことが出来るわけです。 社員の皆さんは「パワー」を持っています。
じゃあ結局CEOが絶大なパワーを持っているんだなと思うかもしれませんが、CEOは常に取締役やマーケットの厳しい目に晒されています。
こんな話を聞いたことがあります。
子どもA: うちのパパは社長だから偉いんだよ
子どもB: うちのパパは取締役だから、社長より偉いんだよ
子どもC: うちのパパは株主だから、誰よりも偉いんだよ
わたしが、「パワーは、じゃんけんであり、食物連鎖だ」という意味は、そういうところにあります。
そして一番大切なことは、役割としてのパワーであり、人間としてのパワーでないということをひと時も忘れないことだと思っています。