見出し画像

「優秀さ」と「率直さ」の使い方

昨年、ポールマッカートニーについてのnote.を書きました。


ポールは能力があり、実績も出しており、時には斬新な考えを提示し、良い作品を作るために(自己中心的なわがままも言ったのかもしれませんが)率直に自分の意見を言います。

こう書くと彼は何も悪くないように思うのですが、Get Backの中では、ポールの言動からジョージの脱退騒動にまで発展します。

では、ポールがジョージの意見を尊重し、少し妥協すれば良かったのか? 良い作品を作るためには、ポールは妥協する必要は無かったかもしれませんし、良いバンドを継続するためには、ジョンの意見を尊重した方が良かったのかもしれません。

メンバーの一員、リンゴスターは、インタビューでこんなことを言ったそうです。

もしポールがバンドに参加していなかったら、僕たちは怠け者だったので、おそらく2枚しかアルバムを作らなかったと思う。でも、ポールはワーカホリックなんだよ。ジョンと僕が庭に座って木の緑を眺めていると、電話が鳴って、彼はこう言うんだ。「おい、君たち、来ないか?スタジオに行こうぜ!」。

ポールにはこの話をしたんだよ。彼はワーカホリックで、すぐに行動を起こすのが好きだから、彼がいない場合に比べて、僕たちは3倍の音楽を作ったんだよ。... いったん始めてしまえば、もちろん大好きなんだけど、(最初は)“ああ、またかよ!”と思ったものだよ」

以前のnote.にこう書きました。

ポールは、自分のアイディアを持っています。 ただ、それを押し付けることは極力しないような配慮もみせています(時に強くオーダーを出すことは作品中にも出てきますが)。  特にジョンには配慮している様子でした。

ポールがメンバーに意見を求める。 しかし他のメンバーからはアイディアが出ないのでポールが発言する。それに、他の人が合意するというシーンもありました。

メンバー間で意見が食い違い議論するときも、お互いの意見を聞いた結果、ポールのアイディアが通りがちだったようにも感じます。 他のメンバーよりも年上だったり、そもそもアイディアが素晴らしかったりするからでしょう。

結果としては、ポールが独裁的ではないにも関わらず、結局ポールの意見が採用されているというシーンが多かったように思えます。

タイトルにある「リーダーシップの難しさ」という意図は、ポールが良かれと思って行動しているにも関わらず、優秀な人は、結果として独裁的に見えてしまったり、自己主張が強すぎるように見えることがあります。 それは「結果として」その人の意見が採用されるからです。

これが行き過ぎると、他の人は発言をしなくなります。 「まあ私がここで言ってもしょうがないか」「あの人がいい意見を出してくれるでしょう」というある種の依存や諦めの感情です。
作品中のジョージ・ハリスンがそうだったように。

優秀な人や、自己主張を出来る人は、優秀がゆえに、他人を萎縮させることがあるということです。 繰り返しですが、本人は悪くありません。 ポールは一生懸命グループのために行動していました。ポールがいなかったらビートルズが成立しないのは、言うまでもありません。 素晴らしいリーダーシップだったと思います。(少なくとも作品中では)

「仕事が出来る or 出来ないは、自分の意見が採用されるかどうかだ。」という話を聞いたことがあります。外資系企業で働く、日本人エグゼクティブの言葉でした。

そういう意味では、やはりポールは「仕事が出来る人」なのでしょう。

そこからさらに一歩高みに登ると、自分の意見が採用されつつ、周囲の人も気持ちが良いという状態を作れる人になるのでしょうか?

まだわたしにはわかりません。

最後にこの動画を共有します。ポールがやりたかったこと、やっていたことはこういうことなのではないでしょうか。

お読みいただき、ありがとうございました!