『YOUR TIME』鈴木祐 今年読んだ本で一番好きな本でした
同じジャンルの本を同時並行で何冊か読むのが好きです。
並行して読むと、見えてくるのは「共通点」です。「あぁ、ここはあの本にも書いてあったな。ということは、これは複数の専門家が導いた一つの結論の形なのだろう」と。
読書においても、セカンドオピニオン、サードオピニオンと同じジャンルの読書を繰り返すことのメリットの一つはそこにあると思います。さらに言うと、全く違うジャンルの書籍からも「共通点」を学ぶことは出来ますので、これは「世の常」なのかと感じることも出てきます。
そういった読み方を好きになったきっかけは、松岡正剛さんのこの本です。『多読術』(ちくまプリマー新書)
他にも、同時に複数の本を並行して読むことを推奨している人は何名もいますので、一つのスタイルなのでしょうね。
最近は時間についての本を読みました。
こちらの本です。『YOUR TIME』(河出書房新社)
いつもの通り、書籍のまとめや書評はしませんが、書籍の冒頭に出てくる三つの真実だけでも、「読みたい!」という気持ちになるのではないでしょうか?
真実1 時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない
真実2 時間の効率を気にするほど作業の効率は下がってしまう
真実3 「時間をマネジメントする」という発想の根本に無理がある
そして「世の中にこれほどの時間術があるにもかかわらず、いまだに多くの人が時間の悩みを抱えているのはなぜか?」という問いです。
この書籍の中で出てくる重要なキーワードが「時間感覚」です。
人間には個性があって、その個性は尊重されるべきというのが暗黙の了解です。(暗黙ではなく、公然かもしれませんね)
何を考えて、何を感じるのか。何をしたいと思い、何をしたくないと思うのか。それは個人の自由であり、人それぞれです。
そんな中「唯一、全ての人に平等なリソースは時間である」という主張・通説も目にします。
書籍に出てくる「時間感覚」は、そういった主張・通説に対して、わたしにとって非常に斬新かつ、納得感の高い問いとなりました。
そもそも「時間」は絶対的な概念ではなく、人間の「個性・性格」は、時間の「捉えかた・使い方」に大きな影響を及ぼすのです。誰にも平等なリソースと思っていた時間に対しても「個性」があるのです。
この本では最初のステップとして、時間感覚タイプテストがあります。
診断はこちらから実施できますので、興味がある方はお試しください。(注意点としては、テストだけ受けても、よくわからないとは思います。)
このnote.のタイトルにも書きましたが、2022年のマイベスト本だと思いました。(年の後半に読んだ本が、その年のベスト本になりがちなのは、わたしの時間感覚の個性かもしれません)
さて、冒頭で「同じジャンルの本を同時並行で何冊か読むのが好き」と言いました。
『YOUR TIME』の一冊前に読んだ本はこちらです。
わたしが感じた、両書籍の一番の共通点であり、大前提は、時間を「うまく使う」という考え方には根本的な問題があり、「時間をうまく使いたい」「仕事の効率を上げたい」といった欲望と、その欲望に対する画一的な対策の数々が、最後には自分の幸福と生産性を下げる。ということです。
『YOUR TIME』の後半は、「時間感覚」における体質改善の話です。 ここからは「ビジネスとアート」との関係性を感じました。
『YOUR TIME』わたしは大好きな本でした。読まれた方と感想を話し合いたいと思います。